2025年5月21日、イスラエル軍がヨルダン川西岸のジェニン難民キャンプを訪問中の外交団に対して発砲する事件が発生し、国際的な非難を招いている。
事件の概要
パレスチナ自治政府が主催したこの視察には、日本、イギリス、フランス、イタリア、カナダ、エジプト、ヨルダンなど31か国の大使や外交官約25人が参加していた。彼らはジェニン難民キャンプの人道的状況を確認するために訪問していた。しかし、イスラエル軍は、外交団が事前に承認されたルートから逸脱し、軍が「戦闘区域」と指定する地域に入ったとして、警告射撃を行った。発砲音により外交団は一時的に退避を余儀なくされたが、負傷者は報告されていない。
各国の反応と非難
この事件に対し、複数の国や国際機関が強い非難を表明している。
•フランス:ジャン=ノエル・バロ外相は「受け入れがたい」と述べ、イスラエル大使を召喚して説明を求めた。
•イタリア:アントニオ・タヤーニ外相もイスラエル大使を召喚し、公式な説明を要求した。
•アイルランド:サイモン・ハリス外相は「完全に容認できない」と述べ、事件を強く非難した。
•EU:外交政策責任者のカヤ・カラス氏は「外交官の命を脅かす行為は容認できない」と述べ、責任者の説明と調査を求めた。
•トルコ:外務省は「外交官の命を危険にさらす行為は、国際法と人道法への明白な違反であり、外交慣習に対する犯罪である」と強く非難した。
イスラエル軍の説明と対応
イスラエル軍は、外交団が事前に承認されたルートから逸脱し、戦闘区域に入ったため、警告射撃を行ったと説明している。また、外交団に不便をかけたことを遺憾に思うと述べ、関係国の外交官に対して事件の初期調査結果を報告するとしている。
背景と影響
ジェニン難民キャンプは、2023年10月のハマスによる攻撃以降、イスラエル軍の軍事作戦が激化している地域の一つ。この事件は、イスラエルと国際社会との関係にさらなる緊張をもたらす可能性があり、外交官の安全確保や人道的支援の重要性が改めて問われている。
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