2025年5月22日、山梨県甲府市に本社を置く菓子メーカー「シャトレーゼ」が、労働基準法違反の疑いで甲府労働基準監督署から書類送検された。同社とともに、当時の物流部長(46歳)および調達部長(52歳)の2名も書類送検の対象となっている。
書類送検の詳細
シャトレーゼは、以下のような労働基準法違反の疑いが持たれている。
•白州工場(北杜市):2023年10月から半年以上にわたり、従業員1人に対し、月45時間を超える時間外労働を行わせた。
•豊富工場(中央市):2023年12月、別の従業員1人に対し、月100時間を超える時間外労働を行わせた。
これらの行為は、労働基準法で定められた時間外労働の上限を超えており、36協定(時間外・休日労働に関する協定)にも違反しているとされている。
違反の背景と企業の対応
構造的な労務管理の問題
1.長時間労働の常態化と36協定違反
シャトレーゼは、2023年10月から2024年3月にかけて、山梨県内の白州工場および豊富工場で、従業員に対し法定を超える時間外労働を行わせていた疑いが持たれている。特に豊富工場では、1人の従業員が1か月に100時間以上の残業を強いられていたと報じられている。これらの行為は、労働基準法で定められた時間外労働の上限を超えており、36協定(時間外・休日労働に関する協定)にも違反しているとされている。
2.外国人労働者への休業手当不払い
2024年2月、シャトレーゼは新設予定の工場で雇用した特定技能の在留資格を持つベトナム人従業員157名に対し、工場の稼働遅延により1~3か月間の待機を命じ、その間の休業手当(総額約4100万円)を支払っていなかったことが判明している。これは労働基準法第26条に違反する行為であり、出入国在留管理庁から改善命令を受け、同社は未払い分の支払いを完了したとされている。
3.下請法違反
2025年3月、シャトレーゼは下請け業者に発注した資材を無償で保管させていたとして、公正取引委員会から是正勧告を受けている。これにより、同社の取引先との関係にも影響が及んでいる。
企業の対応と今後の課題
1.公式謝罪と再発防止策の表明
シャトレーゼは、労働基準法違反に関する事案について、公式サイトで謝罪文を公表し、労働環境の整備に向けて取り組みを進めているとコメントしている。具体的な再発防止策としては、労働時間の適正な管理や、労使間の協議の強化などが挙げられている。
2.社内体制の見直しとコンプライアンス強化
今回の一連の問題を受けて、シャトレーゼは社内の労務管理体制やコンプライアンス意識の強化に取り組む必要がある。特に外国人労働者の雇用においては、法令遵守と適切な労働環境の整備が求められる。
関連する法令違反
シャトレーゼは、今回の労働基準法違反の他にも、以下のような法令違反が指摘されている。
•外国人労働者への休業手当不払い:2024年2月、新設予定の工場で雇用した特定技能の在留資格を持つベトナム人従業員157名に対し、工場の稼働遅延により1~3か月間の待機を命じ、その間の休業手当(総額約4100万円)を支払っていなかったことが判明している。
•下請法違反:2025年3月、下請け業者に発注した資材を無償で保管させていたとして、公正取引委員会から是正勧告を受けている。
社会的反響
俳優の高知東生氏は、シャトレーゼの労働基準法違反に関して、「誰かの犠牲の上の安さでは意味がない」と自身のX(旧Twitter)で発言し、企業の社会的責任や消費者の意識改革の必要性を訴えている。
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